2012年3月31日土曜日

古人の評価法



古人の評価法「岡 潔」




古人の評価法




「価値判断」が古人と明治以後の私たちとで百八十度違うのである。




一、二例をあげると、古人のものは、




「四季それぞれよい」「時雨のよさがよくわかる」である。




これに対応する私たちのものは、

「夏は愉快だが冬は陰惨である」「青い空は美しい」である。

特性を一、二あげると、私たちの評価法は、

他を悪いとしなければ一つをよいとできない。

刺激をだんだん強くしてゆかなければ、同じ印象を受けない。




こんなふうである。




これに対し古人の価値判断は、それぞれみなよい。




種類が多ければ多いほど、どれもみなますますよい。




聞けば聞くほど、だんだん時雨のよさがよくわかってきて、深さに限りがない。




こういったふうである。




芭蕉一門はこの古人の評価法に全生涯をかけていたのであった。
この古人の評価法の対象となり得るものが情緒なのである。

コメント
 ものづくりの本質に、




それぞれのパーツや構造などに対する「それぞれみんなよい」

と言う意識があって、選択し判断するような設計が




古い機械(博物館の加工機械、ゼロ戦、戦艦大和 等)に有ったとおもいます

特徴を捉え利用するためには、

単純な判断は大きな間違いだと経験としても感じています

超音波を適正に利用するために、

それぞれの条件による特性を上手に利用したいとおもいます

追記
 金子みすずと言う詩人にはこの「古人の評価法」があり、
 すばらしい感動の言葉の要因になっているとおもいます




「晴れてよし、曇りてもよし富士の山 もとの姿はかわらざりけり」山岡鉄舟

 晴れ良し、雨もまたよし     ・・・



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